レディーボーンと夢

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スペシャルゲスト:サンジ

ああ、ハリウッド!

夢の都でオレは運命の出会いをし、恋に落ちた―。彼女の名は、『レディーボーン』

『オールドボーン』と人は言うが、オレはそんなヤボな呼び方はしないぜ。 乳白色に輝く滑らかな肌は、どんな料理をも拒むことなく優雅に引き立てる。 そう・・彼女こそオレたち料理人が憧れてやまない至高。テーブル・ウエアの頂点を極める皿なのさ!

かつてボーン島に生息していた牛の骨から作られた白磁は、美しさだけじゃなく強さも別格だ。男に手荒に扱われても、彼女はその肌に傷ひとつ付けることはない。 船上のキッチンで戦う海のコックにとって、彼女以上のパートナーは見つからないぜ。

古物商のウインドウ越しに見た時、オレは心底彼女が欲しいと思った。 高値の華だと分かっちゃいたが、どうにも諦めきれねえ。だが、女神はオレに微笑んでくれた。偶然オレを見かけた監督にヒロインの代役を頼まれたんだ。 女役だが出演シーンはそんなにないし、ギャラは申し分ねえ。それにトリシアちゃんが泣いて頭を下げたんだ、それを断るなんて男がすたるってもんだろ?

オレはもちろん代役をパーフェクトに務め、打ち上げパーティーの料理までこなした。 ・・けど、ゾロに知られちまったのはまずかったな。 撮影を終了してすぐ映画の興行が始まったのも、それをルフィたちに見られたのも、まずかった。 一番まずかったのは、ウソップの阿呆がオレのプロマイドなんて買ってきたことだ。

賢いナミさんはすぐに勘づいた。・・オレは青くなったね。 だけど素知らぬふりをしてウソップから写真を買い取り、そっと懐にしまってくれたんだ。ドレス姿であってもオレの写真をナミさんが持っているかと思うと・・シアワセだー!『サンジくん、貸しにしておくわよ』って小悪魔みたいに笑ってたけど・・やっぱりシアワセだ~!

しかしよく分からねえのは、オレのバイトに目くじら立ててたゾロが、あの映画を見に行ったってことだ。ウソップの話しじゃ、食い入るように見てたっていうしな。・・まさかあの野郎、オレの美しい女姿に惚れちまったんじゃねーだろうな。

・・まあ、そういうことならよ、オレだってあいつの気持ちにこたえてやらないこともないさ。

ボッコボコにしてやりゃあ、奴も分かってくれるだろ。

TRUE END.

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